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コラム|その他2021.06.10
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繁盛する飲食店は原価についてこう考える!「飲食店の原価率30%」の落とし穴とは

繁盛する飲食店は原価についてこう考える!「飲食店の原価率30%」の落とし穴とは
1
原価率、粗利、営業利益とは?
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「飲食店の原価率30%」の落とし穴
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適正な原価率を考えるためのポイントを紹介
目次
飲食店を経営する上で、経費となる原価率に高い関心を持つオーナーも多いだろう。一般的にメニューの原価率は30%ぐらいが良いと言われるが、実際に繁盛している飲食店では必ずしもこの30%という数値にはこだわっていないことも多い。この記事では、原価率の計算方法や適正な数値を考えるポイント、全体の原価率を抑えながら利益を上げる方法などを詳しく解説する。

原価率、粗利、営業利益とは?

店舗の経営状況を判断するには色々な方法があるが、その中でもよく使われるのが原価率粗利営業利益などである。聞いたことがあっても、それぞれについては正しく理解していない、という人も多いのではないだろうか。まずはこれらの用語について説明しよう。

店舗の経営状況のイメージ

原価率の計算方法

原価率とは売上に対する原価の比率であり、以下の計算式に当てはめればすぐに算出できる。

「原価率=食材費÷売上金額×100(%で出す場合)」

これによって、提供しているメニューの価格に対し、食材費の占める割合、つまり仕入れにかかった金額の割合がどれだけかがわかる。
例えば700円で提供しているカレーライスがあった場合、その食材にかかったコストが280円であれば、原価率は「280円(食材費)÷700円(売上金額)×100=40%」となる。
実際には、1皿ずつ計測するわけにはいかないので、月単位などで売上と仕入れにかかった費用を集計し、その平均値を求めることになる。そのため個々のメニューだけではなく、全体の数値も重視していく必要がある。なお、この時点では人件費は含めないのが一般的だ。

粗利、営業利益の計算方法

粗利は文字通り、ざっくりとした利益の目安となるものだ。
具体的には、売上から原価を引いた金額である。数式にすると、「粗利=売上−原価」となり、またその割合のことを粗利率と言う。つまり、「売上=原価+粗利」という関係となり、原価率と粗利率を合計すると100%になる。先ほどのカレーの話で言うと、粗利は「700円(売上)-280円(原価)」で、420円となる。粗利率は100%−40%で、60%だ。

粗利は原価と表裏一体だが、それに続いて重視しなければならないのが営業利益だ。粗利では、売上から引かれるのは食材費だけだった。そこからさらに、人件費、家賃、水道光熱費、販売促進費、人材採用費など、店舗の営業をしていくために必要な経費を引いたものが営業利益だ。数式にすると、粗利−固定費や一般管理費、その他経費=営業利益となる。

利益計算のイメージ

「飲食店の原価率30%」の落とし穴

一般的に飲食店では原価を販売価格の30%とするのが望ましいと言われているが、実際にはすべてのメニューの原価率を30%にすれば良い、というものではない。また全体としても、必ずしも30%でなければいけないというものでもない。逆に、30%という数値にこだわってしまうことの方が危険とも言える。

業態ごとに原価率は異なる

まず現実問題として押さえておきたいのは、飲食店の業態によって適正な原価率は変わってくるということだ。例えば、食材コストが高い業態として知られているものに寿司屋がある。寿司は、元から高額なネタを使う必要がある上、鮮度が落ちると提供できなくなるので、食材の廃棄も多くなりがちだ。そのため、原価が全体に占める割合は、低くても35%〜40%程度、店舗によっては50%を超えることもある。
一方、食材費がかからない業態としては、喫茶店やカフェが代表的だ。コーヒーやソフトドリンクの原価は、概ね販売価格の数%〜10%前後に過ぎず、軽食と合わせても全体の平均は20%台となることが多い。

寿司屋の原価率は高い

原価率はトータルで考える

このように、高級な食材がメインとなる業態では原価率は高くなり、ドリンクがメインとなる業態では低くなる傾向がある。そして同じ店舗のメニューでも、フードの原価率は高く、ドリンクは低くなるのが自然な傾向だ。
つまり簡単に言うと、ドリンクは大きな利益が出るように設定し、フードは利益率を下げてでも味を維持するのがポイント、ということだ。それらを合計して、店舗全体の原価率が一定の枠に収まるようにするのが正しい考え方になる。特にお店の看板メニューについては、ときには採算を度外視してでも、良い食材を使っていくことを考えたい。

繁盛している店ほど原価率が高い?

「原価率=30%」の常識に縛られずに成功している飲食店は数多い。例えば、長年に亘って低価格メニューが人気のサイゼリアでは、社長自ら「40%以上でもいい」と著書で述べ、実際に35%以上で営業をしている。また「俺の株式会社」が経営し、高い回転率をビジネスモデルとする「俺の〜」系列店では、平均が60%とも言われている。
一方、台湾の餃子を提供して人気を集める「餃子のバル」では、安い仕入れ先を開拓したり、質の高いドリンクメニューを提供したりすることで、全体の平均値を20%にまで抑えている。「飲食店の原価率30%」の固定概念に固執しすぎると、思わぬ落とし穴にはまってしまうことがよくある。もっと柔軟に考えていこう。

適正な原価率を考えるためのポイント

原価率は業態や店舗のビジネスモデルによってさまざまな数値がありえるが、現実的に自分の店舗の実態に合わせて、適正な数字を求めていかねばならない。そこでポイントとなるのが、

  1. 全体のバランスで考える
  2. FLコストで判断する
  3. 粗利を重視する
  4. 注文をうまくコントロールする
  5. 食材の無駄を減らす
という5点だ。それぞれ詳しく解説していこう。

①トータルバランスで適正化する

すべてのメニューを同じ率に合わせるのではなく、原価率の高いものと低いものをバランス良く組み合わせることを考えよう。実行しやすいのは、フードとドリンク、付け合わせなどを組み合わせ、客単価全体で見てコストのバランスを整えること。さらに、看板メニューは思い切って30%の壁を大きく外し、1ランク上の味を提供するなどしてみよう。

②FLコストのバランスで適正化する

FLコストとは、F(フード=食材)とL(レーバー=人件費)を足した数値で、60%以下に抑えることが望ましいと言われている。例えば先ほど紹介した「餃子のバル」では、食材費が占める割合は20%だが、人件費には29%をあて、その合計を49%としている。食材コストは味に直結してしまうが、人件費はITツールを活用することで抑えることもできる。人件費に改善の余地があるなら検討しよう。

③原価率よりも粗利で考える

原価を抑えることも大事だが、より重要なのは粗利を確保することだ。どんなに安い仕入れ先を開拓して原価率を抑えても、売上が月に10万円では話にならない。逆に、ときには食材の比率が50%に達する寿司屋であっても、日々の安定した売上があれば、十分な利益を残すことができる。真にバランスの良い経営とは、十分に利益を確保できる状態を指すのだ。

④オーダーコントロールをする

さまざまなタイプのメニューをそろえる必要性は先ほど述べたが、そこからさらに必要となるのが、ドリンクなどの利益率の高いメニューを選んでもらうというオーダーのコントロールだ。これができないと、すべてが絵に描いた餅になってしまう。そのためには、注文したくなるようなメニューブックや、誘導コピー、店内ポップなどの工夫をしてみよう。

⑤食材ロスを減らす

数値に直接関係してくるのが食材ロス、つまり食材の廃棄である。原価率は、食材を仕入れた金額と売上金額の比率で計算される。廃棄が多いということは、本来期待されていた売上が入ってこないということであり、自動的に原価率の数値は上がってしまう。そのため原価率の改善において、食材ロスは真っ先に解決すべき問題となる。提供メニューを見直したり、1つの食材を複数の料理に使ったりするなど、ロスを最小限に食い止める方法を考えよう。

飲食店の食材のイメージ

原価率30%の固定観念から脱却する

一般的に目安とされる30%は、人件費や家賃など、他の経費とのバランスから逆算したときに、概ねその程度が望ましくなるという1つの目安に過ぎない。また全体の平均が30%であった場合も、個々のメニューの原価率はむしろ多様であった方が良い。原価を考える際は必要以上に30%の固定概念に縛られず、十分な利益を残すことを優先して店舗を営業してほしい。
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