2022-06-03
飲食店の立ち上げに必要な開業資金と少しでも安く抑える方法

これから飲食店を開業しようと思っていても、飲食店の開業資金・運転資金を十分に把握していなければ、開業に向けて的確に動き出せない。
そこで今回は飲食店における開業資金の基礎知識や資金調達の方法、開業資金を抑えるための工夫などを紹介していく。
この記事を読むことで飲食店における開業資金の理解が深まるため、ぜひ参考にして欲しい。
目次
飲食店の開業資金の相場と内訳
一般的な大きさの飲食店の場合、平均で1,000万円の開業資金が必要だと言われており、日本政策金融公庫が発表する※「2021年度新規開業実態調査」によれば、2021年では平均で941万円が開業資金がかかっている。
※ https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kaigyo_211129_1.pdf(クリックで開きます)
開業資金の主な内訳は、以下の通りだ。
- ・内装外装費
- ・設備費
- ・消耗品費
- ・人件費
- ・物件確保費
- ・運転資金 など
飲食店を開業してもすぐに安定してお客さんが来るとは限らず、最初の3か月~6ヶ月で発生した赤字は運転資金から補填する必要があるほか、後述する融資は開業資金をすべて負担してもらえる制度ではないため、ある程度の自己資金も確保しておかなければならない。
飲食店の形態によって開業資金が変わる
前述したように、一般的な大きさの飲食店の場合は平均で1,000万円ほどの開業資金が必要になるが、飲食店の規模や形態によって以下のように開業資金は変わる。
1,000万円の開業資金を用意することが難しい場合は、規模や形態を見直すことも検討しよう。
- 小規模なカフェ:300万円
- キッチンカー(フードトラック):250万円
- ゴーストレストラン:100万円~
ゴーストレストランとは、デリバリーのみで営業を行う飲食店のことであり、シェアキッチンや間借りしたキッチンなど設備が整ったキッチンさえあれば開業できるため、初めて飲食店を開業する方にも向いている形態だ。
ゴーストレストランを詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にして欲しい。
参入が増え続けるゴーストレストランの基礎知識と開業手順(クリックで開きます)
開業資金・運転資金の調達方法
前述した1,000万円の開業資金を自己資金だけで確保できる方は少ないため、飲食店を開業するために多くの方が資金調達を行っている。
この章では、主な資金調達の方法を解説していく。
金融機関からの融資
開業資金を調達するために多くの方が行っているのが、金融機関からの融資で、申請するためには説得力のある事業計画書を作成する必要がある。
申請後の審査で1か月後に融資が振り込まれる形となるが、自己資金が多ければ多いほど安心感を与えられることで融資の条件も有利になるため、可能な限りの自己資金を用意しておくと良いだろう。
一般的な金融機関の場合は飲食店の経営経験がなければ融資を受けることが難しいものの、日本政策金融公庫は初めての方でも融資されやすい。
融資を受けるために必要な事業計画書の詳細は、以下の記事を参考にして欲しい。
飲食店開業までの5つの流れと開業後に力を入れるべき対応(クリックで開きます)
クラウドファンディング
個人や組織問わず、多くの方から支持されているクラウドファンディングで飲食店の開業資金を調達するという方法もあり、目標金額に達成した場合に一定期間の売上を分配するなどのメリットを明記することで支援者から資金提供を受けやすくなる。
クラウドファンディングでは、以下の2つの方式があるため、使いやすい方を選ぶと良いだろう。
【All or Nothing型】
目標金額に達した場合のみ、資金を受け取ることができるシステムで、達しなかった場合は支援者に資金が返金される
【All In型】
目標金額に達していない場合でも最終金額を受け取ることができるシステムで、自己資金を少しでも増やしたい時に使われる
補助金・助成金では開業資金を調達できない
開業資金を調達するために補助金や助成金を申請しようと考えている方もいるだろうが、補助金・助成金では開業資金を調達できない。
政府や自治体が提供している補助金と助成金はいずれも返済義務はないが、後払いとなり、着金に1年以上かかる場合もある。
補助金は設備や備品など特定の物の購入費用を一部負担してもらえる制度で、助成金はキャリアアップなど雇用に関する要件を満たした場合に金銭を受け取れる制度だ。
そのため、開業資金の調達ではなく、飲食店の開業後に将来の運転資金のコストを減らす目的で活用すると良いだろう。
自己資金0だと開業が難しい理由
自己資金0でも飲食店を開業できると聞いたこともあるかもしれないが、現実的には厳しいと言わざるを得ないだろう。
金融機関から開業資金の融資を受ける際にどれぐらい自己資金があるかどうかを確認されるが、自己資金0の状態では万が一の際にリスクを回避できないと判断され、融資を受けることが極めて難しくなってしまう。
また一般的な大きさの飲食店の場合、1,000万円ほどの開業資金が必要となるが、すぐに安定した売上を確保できるとは限らず十分な運転資金がなければ、経営が難しくなってしまうため、やはりある程度の自己資金を用意しておくと安心だ。
開業資金を少しでも抑える方法3選
ここまで飲食店における開業資金の基礎知識を説明したが、平均1,000万円が必要となるため、資金集めに苦労している方も少なくないだろう。
そんな方のためにこの章では、少しでも開業資金を抑える方法を説明していくため、これから飲食店の開業を考えている方は、ぜひ参考にして欲しい。
居抜き物件などを選ぶ
居抜き物件とは、前オーナーが設備や内装、家具などを残した状態で貸し出している物件のことであり、そこまでのこだわりがない場合は設備導入費や内装費などを大幅にカットできるオススメの物件だ。
ただし、設備などが故障している場合もあるため、内見の段階で正常に動くかどうかを十分に調べておくと良いだろう。
こだわりが強い場合は内装設備などがすべて片付けられているスケルトン物件が適当だが、0の状態から設備を整えて、改装していく必要があるため、開業資金を抑える意味では居抜き物件の方が望ましい。
内装・外装を自分でDIYする
内装・外装業者に改修依頼する場合は大きな出費となるが、DIYで自分の力だけで対応する場合は大幅にコストをカットできるので、少しでも開業資金を抑えるためにはDIYに取り組むと良いだろう。
ホームセンターで工具と材料を揃えれば、すぐに内装・外装に着手できるが、こだわりすぎるとスケジュールが伸びてしまうため、完了までのスケジュールを明確にしておくことが大切だ。
また電気・水道・ガスなどのインフラ設備は、通常は有資格者が担当する箇所であり、DIYで対応することが非常に難しいため、インフラ設備は業者に任せると良いだろう。
厨房機器を中古で買う
厨房機器を全て揃えようと思うと想像以上に費用がかさんでしまうほか、飲食店を運営する上で必要な厨房機器の種類は多いため、開業資金を抑えるために中古で厨房機器を購入することも視野に入れよう。
中古であれば厨房機器を新品よりも安く導入することが可能であり、居抜き物件を確保したうえで足りない厨房機器を中古で購入すれば開業資金を大幅に抑えられる。
最後に
一般的な大きさの飲食店は平均1,000万円ほどの開業資金がかかることが分かっており、この金額を自己資金だけで賄える方はあまりいないため、多くの方が融資などに頼っている状態だ。
この記事を参考にして、開業資金を抑える方法を実践しつつ、理想の飲食店を開業するために動き出そう。