TOP  >  コラム  >  その他  >  インボイス制度がもたらす飲食店の影響と3つの対応

2022-08-05

インボイス制度がもたらす飲食店の影響と3つの対応

インボイス制度

23年10月からインボイス制度が新たに始まるが、それに伴って大きな影響が発生するが、飲食店はどのように対応すれば良いのだろうか。

そこで本記事ではインボイス制度の基礎知識や導入が始まる背景、主な影響と対策などを説明していく。

この記事を読むことでインボイス制度開始時までに行う対応のヒントが分かるため、ぜひ参考にして欲しい。

目次

23年10月から始まるインボイス制度とは

23年10月から始まるインボイス制度とは

インボイス制度(正式名称:適格請求書等保存方式)とは、消費税の仕入税額控除に関する新たな方式のことであり、23年10月から現在の区分記載請求書等保存方式に変わって導入される。

国税庁の「インボイス制度の概要」で説明されているとおり、インボイス制度における適格請求書は、以下の内容が記載された書類のことであり、適格請求書発行事業者でなければ作成できなくなる。

  1. 1. 適格請求書発行事業者の氏名または名称およびに登録番号
  2. 2. 取引年月日
  3. 3. 取引内容
  4. 4. 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜・税込)および適用税率
  5. 5. 税率ごとに区分した消費税額等
  6. 6. 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
    1. 飲食店や小売業、タクシー業は、適格請求書の代わりに、6を条件から外した適格簡易請求書で対応することができる。

      インボイスの発行はどのような事業者でも行えるということはなく、適格請求書発行事業者の登録申請をした課税事業者のみがインボイスを発行できる形だ。

      課税事業者と免税事業者の違い

      課税事業者は消費税納付義務がある事業者で、免税事業者が納税を免除されている事業者を指し、それぞれ以下のように定義されている。

      【課税事業者の定義】
      基準期間における課税売上高が1,000万円を超える場合

      【免税事業者の定義】
      基準期間における課税売上高が1,000万円以下の場合

      免税事業者に該当する場合でも申請することで課税事業者およびに適格請求書発行事業者になれるため、インボイス制度開始前までに課税事業者になるかどうかを十分に検討しなければならない。

インボイス制度が誕生した背景

インボイス制度が誕生した背景

日本の消費税は、もともと欧州連合(EU)の付加価値税を参考に作られたが、ヨーロッパの地域や提供するサービスによって付加価値税の税率が大きく異なることで計算が複雑化していたため、明細ごとに詳細な税金をインボイス制度が導入されていた。

日本では消費税率が統一されていたことから1989年の消費税導入時にはインボイス制度が見送られていたものの、2019年10月に消費税が10%に引き上げられたが、酒類・外食を除くデリバリーやテイクアウトなどの飲食料品や週2回以上発行される新聞には8%の軽減税率が適用されたことで複数税率が生まれることに。

この軽減税率の登場によって欧州連合と同じ状況になったことで、日本でも消費税を正確に把握しつつ、不正・ミス防止のために23年10月からインボイス制度が開始されることになった。

23年9月末までは、現在の区分記載請求書等制度が移行までの経過措置として設けられているものの、23年10月からは適格請求書発行事業者はインボイス制度に対応しなければ仕入税額控除を受けられなくなってしまう。

インボイス制度による飲食店の悪影響

インボイス制度による飲食店の悪影響

ここまでインボイス制度の概要を説明したが、消費税額を正確に把握できる以外に事業者側にはメリットがないと言えるが、インボイス制度に対応しなければ、様々な悪影響が発生してしまう。
この章では、インボイス制度による飲食店への主な悪影響を説明していくので、ぜひ読み進めて欲しい。

仕入税額控除が受けられなくなる場合がある

インボイス制度が開始された後は、仕入税額控除を受けるためにはインボイスが必須となり、仕入などの取引先が適格請求書発行事業者かどうかを確認しなければならない。

もし取引先が適格請求書発行事業者ではない免税事業者だった場合は、仕入税額控除が受けられない&消費税納税の義務が生じることで材料費などが結果的に高騰し、飲食店の売上が減少してしまう。

2029年までは以下の条件を満たせば、免税事業者の場合でも仕入税額控除を経過措置として受けられる。

  • ・区分記載請求書等保存方式に従った請求書等の保存
  • ・経過措置の適用を受けることを記載する

しかし、経過措置では100%の仕入税額控除を受けられないほか、期間が過ぎるごとに仕入税額控除の割合が下がっていくため、早めの対応が望ましい。

  • ・令和5年10月1日~令和8年9月30日まで:仕入税額相当の80%
  • ・令和8年10月1日~令和11年9月30日まで:仕入税額相当の50%

顧客離れが起きるおそれがある

もしインボイス制度実施後にインボイスを発行できない免税事業者のままだった場合は、接待などで利用しようとしている法人のお客さまが経費精算をできなくなるため、インボイスを発行できる競合先に流れてしまう可能性が高い。

また、前述したように免税事業所のままでは取引先は消費税分を余分に支払う=売上減少を避けるためにインボイスを発行できる他社に乗り換えられたり、値下げを要求されたりするおそれがある。

前述したように法人の接待で利用されることが多い課税事業者の飲食店の場合は適格請求書発行事業者になることが望ましい。

免税事業者の場合でも取引先が課税事業者であった場合は、インボイス制度開始に伴って取引が終了してしまう可能性が高いだろう。

それを防ぐためには、この機会に課税事業者になるか、仕入税額控除が受けられなくても取引を続けたいと思ってもらえるように今のうちに対策しておくことが重要だ。

経理作業の負担が大きくなってしまう

インボイス制度開始後は、規則通りにインボイス(適格請求書)を作成&保存しなければならないほか、受け取る請求書に関しても、適格請求書かそうではないか、8%・10%の区分なのかを明確に確認しなければならないため、経理作業の負担が増えてしまう。

また、社内ルールの変更も必須となり、インボイス制度に対応していない会計システムであった場合は新たな導入コストが発生してしまうため、インボイス制度が始まる前までに対応しなければならない。

飲食店におけるインボイス制度の対応

飲食店におけるインボイス制度の対応

インボイス制度は23年10月から始まるため、それまでに課税事業者として準備を済ませておかなければならないが、具体的にどのような対応が必要なのだろうか。

この章では、インボイス制度に伴う飲食店の対応を説明していくため、課税事業者になることを考えている方は、ぜひ参考にして欲しい。

適格請求書発行事業者に登録する

前述したようにインボイスに対応しない場合はさまざまな悪影響を受けてしまうおそれがあるため、インボイス制度が開始される前までに適格請求書発行事業者に登録しておくことが望ましい。

国税庁のHPで申請書をダウンロードできるため、23年3月までに適格請求書発行事業者になっておけば、23年10月のインボイス制度開始時にスムーズに対応できるだろう。

POSレジや会計ソフトを導入する

無理に人海戦術でインボイス制度に対応しようとするとヒューマンエラーが多発してしまう要因となるほか、お客様の会計毎にインボイスで必要とされている項目をしっかりと記入することは現実的ではないため、インボイスに対応したPOSレジや会計ソフトを導入すると良いだろう。

インボイスに対応したPOSレジであれば、自動で8%・10%の税率が反映されるほか、売上データを自動的に取得できるため、業務効率化の観点でも導入を検討することが望ましい。

POSレジの基礎知識や飲食店向けのPOSレジを知りたい方は、以下の記事を参考にして欲しい。

POSレジを導入すべき理由は3つあった!レジ検討中なら迷わずPOSを!

飲食店向けPOSレジ20社を比較|POSシステム選びのポイントを解説

各種補助金を活用する

インボイスに対応するためにはPOSレジや会計ソフトなどの環境の見直しに伴って、コストが発生するため、少しでもコストを抑えるためにインボイス制度に関連する補助金を活用すると良いだろう。

インボイス制度に関する補助金には、主に持続化補助金とIT導入補助金があり、それぞれ補助率は以下のとおりだ。

【持続化補助金】
補助上限額:100万円
補助率:2/3

【IT導入補助金】
ITツール:~50万円(補助率3/4)、50~350万円(補助率2/3)
PC・タブレット等:10万円(補助率1/2)
レジ等:20万円(補助率1/2)

最後に

インボイス制度にはこれといったメリットと言えるメリットはないものの、対応しないことで顧客離れにつながるおそれがあるなど、様々な悪影響が発生してしまうため、可能な限り早く適格請求書発行事業者になるかどうかを決断することが重要だ。

この記事を参考にして、インボイス制度への理解を深めて、最善と考えられる対応をしていくと良いだろう。