2021-05-06
あなたの店舗は多店舗展開すべき?多店舗展開のメリットデメリット、ドミナント出店について徹底解説!
オープンした飲食店が軌道に乗り、ある程度経験を積んだ店長であれば、多店舗展開を一度は考えるだろう。しかし、多店舗展開の失敗例も数多く耳にするため、なかなか踏み出せないというオーナーも多い。
そこで、今回は多店舗化を成功させるために考えるべきメリット・デメリットと、ドミナント出店戦略について紹介していこう。
目次
多店舗化のメリット・デメリット
個人経営も多く、1オーナー1店舗という形態をとりやすい飲食店で「安定しているときにわざわざ2店目を出店するメリットはあるのか?」と疑問に思う経営者もいるだろう。
そこで、はじめに多店舗展開のメリットとデメリットを整理していこう。
多店舗展開のメリット
- ・売上規模の拡大と大量仕入れによるコスト削減
- ・スタッフのキャリアパスを形成することでモチベーション向上
- ・認知度の向上、ブランディングの強化を図れる
- ・複数店舗を比較することで経営上の分析が容易になる
- ・リスクを分散し、中長期的な視点での安定を図れる
まず、多店舗展開すると売上規模の拡大だけではなく、店舗当たりの運営コストを下げられるなど、スケールメリットの恩恵を受けられる。
具体的には、複数店舗の材料購入を一括化することで仕入れ単価を抑えたり、求人を統一化して採用業務を一本化したりと、業務負担を軽減できる。
人材面では、キャリアパス形成が容易になる。
単独店舗ではスタッフにポジションを用意しづらく、有能な人材の離脱を防ぐことは難しいが、多店舗展開すると新店舗店長やエリア統括マネージャーといったキャリアアップの「先」を用意することができ、熟練スタッフが定着しやすくなる。
また、特に強調したいのがリスク分散によるメリットだ。
提供サービスの質・内容が変わらずとも、近隣に競合店ができた、主要な顧客であった会社・学校が移転したといった理由から業績が悪化することは十分に考えられる。
1店舗経営だと売上不振はオーナーの生活を直撃する。
しかし、多店舗展開しておくことで、これらのリスクが分散される。
成功ノウハウや失敗ノウハウが蓄積できるし、業態寿命による急激な集客減、売上減などによるリスクを軽減することも可能だ。
そして認知度の向上は後述するドミナント出店戦略でより強化されるが、店舗名、ブランドの知名度が上がれば広告に頼らずとも集客できるし、競合店の出店への抑止効果も期待できる。
チェーン展開が実現すればコンサルビジネスに発展し、多角経営によるリスクヘッジが可能になる。経営者の役員報酬1,000万円以上をめざすことができるなど、多店舗展開のメリットは計り知れない。

多店舗展開のデメリット
- ・必要経費の増加
- ・経営管理の複雑化
- ・各店舗へ目が行き届きづらくなる(クオリティの低下)
- ・人材の不足
一方、大きなデメリットは経営管理の複雑化だろう。
店舗維持費用、人件費や税金などの必要経費が増加するため、経営失敗時の損害が増える。
そのため、単独店舗の頃よりも一層の経営努力が必要になる。
また、店舗数が増えると各店舗での集計や発注、勤怠などの管理でミスが発生する可能性も高くなるし、店舗間で提供するサービスの質に差が生じやすくなる。
しかも、それにすぐ気づくことは難しい。
これらを防ぐためにはそれまで店長個人の技術、センスで行っていたことを体系化し、必要であれば補助機器を導入するなど標準化が求められる。そして、優秀なスタッフを効率よく育成し定着させるため、個人の経験や勘に頼らずに済むマニュアルを作成し、組織的な運営をめざす必要がある。

多店舗展開する際の重要ポイント
多店舗展開する際には、見極めるべきポイントがいくつかある。ここでは失敗しないために押さえておくべきポイントを紹介する。
2店舗目の出店を見極める
多店舗展開をしたとしても、出店タイミングや方針を間違えると1号店まで共倒れしてしまいかねない。以下のポイントを材料として、しっかりと判断しよう。
十分に利益を計上できているか?
1店舗目の赤字を多店舗展開で回収しようと考えるのは誤った選択だ。
まずは現在の営業利益がしっかりと上げられているか、借入金の返済は計画通り順調に進んでいるかを考えなければならない。
新店舗の開業では金融機関から資金を借り入れることが多いが、その融資ができるかどうかは大きな検討材料となる。
融資担当者の回答は第三者から見た経営状況に対する判断であるため、客観的に多店舗展開のタイミングを判断する手助けになるだろう。
販売機会のロスが生じていないか?
現在の店舗が満員となり、販売機会のロスが生じているかどうかも判断のポイント。
販売機会のロスがないということは売上向上の余地があるため、まずは現店舗の経営効率の向上に努めるべきである。
任せられるスタッフが育っているか?
店舗が増えるとオーナーが常駐できず直接関与できなくなるのは当然で、何から何までオーナーがこなす状況から脱する必要がある。
そのため、店舗のマネジメントや人材育成を信頼して任せられるスタッフが育っているかどうかも重要なポイントになる。
撤退ラインは想定できているか?
いかに事前調査を入念に行ったとしても、失敗の可能性は存在する。
その場合、どのラインで撤退するかを事前に想定しておくべきだ。
どの程度の赤字まで耐えられるのかを計算しておかないと、現店舗すらも手放す事態に陥ってしまう。
直営店、FCでの違いを把握
2店舗目、3店舗目まではオーナーが直接資金を調達し出店する直営方式で展開することが多いため、この記事では直営を前提に紹介してきた。
しかし、最近は店名やメニューを統一しないフリーネーム方式のフランチャイズ(FC)展開もある。ここで直営展開とFC展開の方式の違いを一覧で確認しておこう。
| 直営方式 |
フランチャイズ方式 |
|
|---|---|---|
| 特徴 |
管理をしやすい反面、店舗数を増やすのに時間がかかる |
スピーディに店舗数を増やせるがクオリティがばらつきやすい |
| オープン資金 |
本店のオーナーが調達 |
本店のオーナーの負担がない |
| オペレーション |
オーナーが直接雇用して行う |
加盟店が独自に雇用して行うため、直営店の負担が増えない |
| ノウハウ |
現場の状況に応じて柔軟に変更が可能 |
本店のノウハウを提供する |
| 販促 |
特に制限はなく自由に販促できる |
FC店と共同で販促を行うことができる |
| 仕入れ |
一元化することが多いが制約はない |
直営店経由で行われることが多い |
| 利益 |
店舗の売上のみ |
加盟料やロイヤリティ、食材など仕入れの卸価格に上乗せした費用など |
ドミナント出店による多店舗化
多店舗展開のメリットとして紹介した「認知度の向上、ブランディングの強化」をさらに強力なものとするには、ドミナント出店戦略が有効だ。
ドミナント出店とは?
飲食店は商圏人口などで獲得できる市場に限りがあるため、競合店とのシェア争いが経営の課題となる。
そこで特定の地域へ資金や出店を集中させ、その地域での圧倒的な知名度・地位の確立を狙うのがドミナント出店戦略だ。
ドミナントの元となった「dominant」には「支配的な」「優勢な」という意味がある。
ドミナント出店のメリット
マーケット情報を把握できている既存店舗の、近隣地域に新規出店できるアドバンテージは大きい。
人材募集も容易になり、求人広告以外にスタッフからの紹介を期待することもできる。
店舗マネジメントの面でも物流や人材移動のコストを抑えられる近距離出店は有効である。
単独店舗ではなくチェーン全体で認知度の向上、ブランディングの強化を図れるため、広告宣伝における費用対効果の向上も見込める。
その結果、地域で「〇〇といえば△△」と認知されるようになれば、競合や新規参入の出店を抑止することができ、自店舗のシェアをさらに強固なものとすることが可能になる。

多店舗化の成功の秘訣、失敗しないために
多店舗展開で成功するためには、まず既存店舗の状況を把握し、出店タイミングを誤らないことが重要だ。
決して忘れてならないのが、オーナーは管理に徹し、仕事はスタッフに任せなければならないということだ。
そのために業務やマネジメントのノウハウはわかりやすく体系化し、信頼できる人材の育成を進めておく必要がある。
そして、しっかりと戦略を練った上で多店舗展開を実行していこう。
