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2022-09-09

大打撃を受けてしまう食中毒の被害と飲食店における対策5選

飲食店の対策

食中毒は年間を通して飲食店などで発生しているが、もし自店舗で食中毒に繋がった場合は営業停止など深刻な被害を受けてしまうため、日頃から十分に対策しておく必要がある。

しかし、これから食中毒対策を強化しようと考えている方の中には、食中毒の原因や効果的な対策が分からずに困っている方もいるのではないだろうか。

そこで本記事では食中毒の基礎知識や発生する主な原因、効果的な対策などを説明していく。

この記事を読むことで食中毒の理解が深まるので、ぜひ参考にして欲しい。

目次

飲食店で食中毒が発生した場合の3つの被害

閉店

食中毒は年間を通して発生しており、飲食店においては絶対に避けなければならないリスクだが、具体的には食中毒によって飲食店はどのような被害を受けてしまうのだろうか。

まずは飲食店における取り返しのつかない被害を説明していくため、ぜひ参考にして欲しい。

営業停止・営業禁止を余儀なくされる

万が一、飲食店で食中毒が発生してしまった場合は営業停止、もしくは営業禁止を余儀なくされるほか、何度も再発させていたり、営業禁止を無視して営業を続けた場合は営業許可取り消し処分が行われる。

営業停止の場合は処分時に期間が決まるものの、原因が特定できない場合に行われる営業禁止は無期限で営業ができなくなってしまう。

売上が大幅に低下してしまう

食中毒が発生した場合は、保健所に店舗名を公表されるため、営業停止処分の期間が終了した後も「あの飲食店で食中毒が発生した」と周囲に知られることで来店するお客さまが減少し、売上低下につながってしまう。

失ったお客様の信用を取り戻すのは一朝一夕にはいかず、改善を徹底しながら、長期にわたって集客をやり直さなければならない。

お客さまに損害賠償を請求される

食中毒の発生によって行政処分を受けるだけでなく、食中毒の被害を受けたお客さまから損害賠償を請求されるリスクがあり、大規模な食中毒に発展した場合、最悪は損害賠償を支払いきれずに倒産につながるおそれがある。

飲食店が提供した料理が原因で食中毒が発生したことが証明された場合、治療費や交通費、見舞金、入通院慰謝料などで平均5万円を被害者に支払わなければならない。

食中毒を引き起こす細菌・ウイルス・寄生虫の種類と特徴

寄生虫のサイズ

食中毒は、料理に付着した細菌・ウイルスを摂取することで引き起こされるが、症状などは細菌・ウイルスの種類によって異なる。

食中毒への理解を深めるためにも、ぜひ読み進めてほしい。

腸管出血性大腸菌(O157、O111)

腸管出血性大腸菌とは、牛や豚など家畜の腸内でまれに発見される細菌のことであり、加工された食肉や殺菌不足の井戸水に付着していることが多く、週中毒では特にO157やO111などが有名。

75℃で1分以上加熱すると死滅できるものの、感染力が非常に強いのが特徴であり、強力なベロ毒素を生成することで人に下痢や激しい腹痛、嘔吐、発熱、血便などの症状をもたらし、乳幼児や高齢者の場合は死に至るおそれがある。

カンピロバクター

カンピロバクターとは、牛や豚、鶏などの家畜の腸内にいる細菌のことであり、特に高い確率で鶏肉が保有していることが分かっている。

乾燥に弱く、75℃で1分以上加熱すると死滅できるものの、生食や加熱不十分な状態でカンピロバクターが付着した料理を摂取すると、倦怠感やめまい、筋肉痛、腹痛、発熱などを発症してしまう。

2~7日で発症し、他の細菌・ウイルスよりも食中毒よりも発症期間が長いのが特徴だ。

黄色ブドウ球菌

黄色ブドウ球菌とは、人の皮膚や口腔、動物の腸などにある細菌のことであり、健康な人や自然界にも存在しており、菌自体は熱には弱いものの、毒素は100℃で30分加熱しても死滅できない。

調理する人の手に出血・化膿している傷口があると、高確率で料理に付着してしまい、3時間ほどで嘔吐や腹痛、下痢などの症状をもたらす。

サルモネラ菌

サルモネラ菌とは、牛や豚、鶏の家畜の腸や犬・猫などのペットなどが保有している場合がある細菌のことであり、加工品を含む卵や食肉に付着してしまうことが多いが、75℃以上で1分以上、加熱すれば死滅できる。

もしサルモネラ菌に汚染された料理を摂取した場合、12時間から48時間ほどで嘔吐や腹痛、下痢、発熱の症状が現れ、小児や高齢者は重症化しやすい。

アニサキス

アニサキスとは、白色の太い糸のような見た目の寄生虫の一種で幼虫はサバやアジ、サンマ、カツオ、イカなどの魚介類に寄生しており、60℃以上で1分以上加熱、もしくはマイナス20℃以下で24時間以上冷凍することで死滅できる。

ただし、料理で使っているワサビや醤油、酢などに漬けてもアニサキス幼虫は死なない。

アニサキス幼虫が寄生している生鮮魚介類を生や加熱もしくは冷凍が不十分な状態で摂取すると、アニサキス幼虫が胃壁や腸壁を刺入し、急性胃アニサキス症・急性腸アニサキス症によって、激しい腹痛や嘔吐、発熱などの食中毒につながってしまう。

食中毒につながる主な4つの原因

カキ 食中毒

厚生労働省の「食中毒統計資料」で説明されているように、食中毒の発生場所は料理を提供する飲食店が最も多く、食中毒が年間を通して発生している。

自店舗での食中毒発生を防ぐためには、原因の把握と排除が必要不可欠だが、この章ではまずは食中毒の主な原因を説明していく。

食材の保管環境が悪い

食中毒の原因の1つとなる細菌は温度20℃~40℃で活発的に繁殖していくため、常温で食材を置いておくことは非常に危険だ。

食材の保管環境が悪ければ食中毒につながってしまうリスクがあり、食材の受け入れ時や調理中に食材を置きっぱなしにしたり、適温から外れた環境で食材を保管していたりすると食中毒につながる細菌が繁殖してしまうおそれがある。

また冷蔵庫の上段に生肉を保管していると、ドリップ(赤い汁)が野菜などの下段の食材にかかることで食中毒につながってしまう。

加熱・冷却が不十分だった

食肉や魚介類を十分に加熱・冷却できていなければ、食中毒の原因となる細菌などを死滅できないため、そのまま料理としてお客さまに提供すると、食中毒の発生につながってしまう可能性が高い。

料理を冷ます場合も常温で時間をかけて冷やすと菌が活発的に繁殖してしまうため、料理を室温で放置することは絶対にやめ、調理後はすみやかに冷却しなければならない。

不十分な手洗いと調理器具の洗浄

健康な方の手にもさまざまな種類の菌が付着しており、手袋だけでは防ぎきれないため、こまめな手洗いを徹底しなければならない。

しかし、1人でも手洗いが不十分な従業員がいるのであれば、手指や調理器具をとおして食材に細菌やウイルスが付着するおそれがあるため、食中毒につながってしまう。

また生肉に触れたまな板や包丁などの調理器具をこまめに洗わずに使い回している場合は、細菌やウイルスが広まる原因となる。

生食での提供

豚肉や豚レバー、牛レバーの生食での提供は法律で禁止されているほか、生食用の牛肉や馬肉などには厳格な衛生基準があるものの、鶏肉の生食には現時点では法規制が設けられておらず、注意しなければ食中毒発生の原因となってしまう。

生食の刺身やカキなどは、細菌やウイルス、アニサキスなどを加熱によって死滅させる工程がないため、もし刺身やカキが汚染されていることに気づかずに提供した場合は、食中毒につながるおそれが高い。

飲食店における効果的な食中毒対策5選

手洗い

食中毒を防ぐためには、食品衛生を日頃から徹底することが必須となり、もし自店舗で食中毒を引き起こした場合は、その後の経営に計り知れないほどの深刻な被害をもたらしてしまう。

食中毒を防ぐためには、以下の食中毒予防の三原則を日頃から徹底することが大切だ。

【つけない】
食中毒の原因となる細菌やウイルスなどに触れさせない

【増やさない】
保管方法に注意し、細菌やウイルスを繁殖させない

【やっつける】
食中毒の原因となる細菌やウイルスなどを死滅させる

この章では、上記の食中毒予防の三原則に基づいた飲食店における効果的な食中毒対策を解説していくため、食中毒対策を強化しようと考えている方はぜひ読み進めてほしい。

調理器具の洗浄や手洗いを徹底する

生肉に触れた包丁やまな板などの調理器具を洗わずに使い回していたり、手洗いが不十分な状態では、いつ食中毒が発生してもおかしくない状態と言えるため、こまめに調理器具の洗浄と手洗いを徹底的に行う必要がある。

調理器具を使うたびに洗浄していても、同じ包丁などの調理器具で生肉と生食用の野菜を扱うと食中毒リスクがあるため、食材別に包丁などの調理器具を使い分けることが望ましい。

また、厚生労働省の「手洗いの時間・回数による効果」で説明されているとおり、ハンドソープで60秒かけて手洗いし、流水で15秒すすぐとウイルス0.001%まで減らせることが分かっているため、指や爪の間、手首などをくまなく洗うと良いだろう。

食材の管理方法を工夫する

前述したように生肉や加熱処理が必要な食材を冷蔵庫の上段に置くことで、下段の野菜にドリップがかかった場合は食中毒につながるおそれがあるため、生肉や加熱処理が必要な食材は容器に入れた上で最下段に置くことが望ましい。

また食材や調理した料理を常温で保存しておくと細菌やウイルスが活発的に繁殖していくため、食材の受け入れには確実に立ち合い、できあがった料理はすぐにお客さまに提供するか、繁殖が止まるマイナス15℃以下で保管しておくと良いだろう。

温度管理を徹底する

冷蔵庫や冷凍庫で食材を保管していても、食材の指定温度から外れている場合は菌が繁殖してしまい、食中毒の原因となるので、食中毒を防ぐためには食材ごとの指定温度は必ず守らなければならない。

また冷蔵庫や冷凍庫が気づかぬうちに故障していた場合は、食品ロスにもつながりかねないため、庫内温度が分かるように外に温度計をつけたうえで、定期的に庫内温度の記録を取ると良いだろう。

加熱・冷却を十分に行う

細菌は温度20℃~40℃で活発的に繁殖していくため、生肉や刺身などの食材は受け入れ後にすみやかに冷蔵庫で保管することが望ましく、10℃以下で繁殖スピードが遅くなり、マイナス15℃以下で繁殖を止められる。

また、ほとんどの細菌やウイルスは加熱処理によって死滅させることが可能であり、中心温度75℃以上での1分以上の加熱が1つの目安となっている。

生カキなどに付着していることが多いノロウイルスの場合は、90℃以上で1分以上加熱することで食中毒を回避できる。

生食での提供を避ける

食中毒の発生リスクを少しでも低下させるために、リスクとなる生食での提供を最初から避けるのも良いだろう。

前述したように鶏肉の生食には現時点では法規制が設けられておらず、毎年のようにカンピロバクターによる食中毒が発生しているが、もし汚染された鳥刺しや鳥タタキなどによって食中毒に陥った場合、最悪は呼吸困難や手足の麻痺が後遺症として残るギランバレー症候群を発症してしまう。

そのため、自店舗へのリスクやお客様の安全性を優先して、生食での提供を避けることもひとつの手だ。

最後に

もし食中毒が発生した場合は、どんなに売上が良い人気店に成長していたとしても倒産につながるおそれがあるため、全従業員が食中毒への理解を深めたうえで、対策を徹底しなければならない。

この記事を参考に、自店舗でのリスクを回避するために今から効果的な食中毒対策を導入しておこう。