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2022-07-21

改正された食品表示法の基礎知識と違反した場合のペナルティ

食品表示法の基礎知識と違反

一般消費者が安全な食品を選択できるように、過去複数回にわたって食品表示法が改正されており、23年4月には遺伝子組換え任意表示制度の完全施行が行われるが、中にはどのように対応すれば良いのか分からない方もいるのではないだろうか。

そこで本記事では食品表示法の基礎知識と22年・23年の改正内容、食品表示法に違反した場合の深刻なペナルティなどを説明していく。

この記事を読むことでどのように今後の食表示法に対応すれば良いのか分かるため、ぜひ最後まで読み進めてほしい。

目次

そもそも食品表示法とは

食品表示法とは

食品表示法とは、一般消費者が食品の安全性などを確認できるように販売する食品の情報を開示することを義務付けた法律である。

以前はJAS法・食品衛生法・健康増進法がそれぞれ存在していたものの、複雑化していたため、3法が統合される形で新たに食品表示法が2015年4月から施行された。

2017年~2020年に以下の内容が改正され、その多くがすでに施行済みであるが、遺伝子組み換え任意表示制度の改正は経過措置中であるため、今のうちに対応しておくことが重要だ。

【施行済みの内容】
・新たな精米時期の表示方法
・乳及び乳製品の成分規格等に関する省令における生水牛乳の追加
・指定成分等含有食品表示に関する健康被害情報の届出の義務化
・人口や合成などの用語の削除
・原料原産地制度の義務化

【経過措置がある内容】
・遺伝子組換え任意表示制度の改正

食品表示法が改正された背景

食品表示法

特に大きなポイントは原料原産地制度の義務化と遺伝子組み換え任意表示制度の改正であるが、なぜ食品表示法は複数回にわたって改正され続けているのだろうか。

食品表示法で改正・施行される内容は一般消費者が安全な食品を選択しやすくすることが前提にあり、今回は主に以下2つの理由によって改正が行われた。

  • ・アレルギーの配慮
  • ・産地偽装問題の阻止

フーズチャンネルの「食品リコールの原因1位は不正表示。事業者の届出が義務化される2021年6月までに対策を」で説明されているように、2020年1月~6月の調査では食品事故の68%がアレルゲンや賞味期限などの不正表示であることが判明しており、健康被害を防ぐために正確な情報を表示することを義務付けている。

またコストを削減しつつ、一般消費者にアピールできることから悪質な食品偽装問題がなくならなかったため、今回の改正で新たな原料原産地制度を設立し、食品偽装問題の撲滅に踏み切ったのだ。

新しい原料原産地表示制度 ‐事業者向け活用マニュアル‐で記載されているとおり、原料原産地を参考にする一般消費者が77%いるという結果が調査の上で判明した。

しかし、その一方で、従来の原料原産地制度は、表示義務の対象は店舗で陳列されている加工食品全体の約11%に過ぎない上、自主的に産地を表示しているものは約16%に留まっているという課題があったため、今回の改正につながった。

22年4月から完全施行された新たな原料原産地制度

原料原産地制度

17年9月に施行され、22年3月末までの経過措置が設けられていた新たな原料原産地制度はすでに完全施行済みであるが、どのような内容なのだろうか。

この章では、改正原料原産地制度の主な内容を説明していく。

輸入品を除く加工食品の原料原産地表示の義務化

今回の改正に伴って、国内で製造、もしくは輸入品を除く全ての加工食品が原料原産地表示が義務化の対象に拡大した。

ただし、「新しい原料原産地表示制度 ‐事業者向け活用マニュアル‐」で説明されている通り、以下のいずれかに当てはまる場合は義務化の対象外となる。

  • ・加工食品を設備で飲食させる外食
  • ・容器包装に入れずに販売する
  • ・ワインなど伝達が他法令で義務付けられている
  • ・食品を製造、または加工した場所で販売する
  • ・販売を除いて、不特定多数の者に譲渡する

重量割合が最も高い原材料が原料原産地表示の対象

水や添加物を除いて、新たに使用した原材料を占める重量割合上位1位の原材料が原料原産地表示の対象となった。

今回の改正により、おにぎりも対象となったが、おにぎりの場合は重量割合に関わらず、のりの原産地を表記しなければならない。

ただし、以下の場合は対象外となる。

  • ・おかずと一緒に容器包装に入れるなど、おにぎりとほかの食材を組み合わせている
  • ・寿司など酢飯と具材を組み合わせた料理

国別重量順表示が原則となる

対象原材料の産地は国別重量順表示が原則となり、国別に重量割合の高い原材料順で国名を表記しなければならない。

ただし、今後1年間で国別の重量順位が変動したり、産地が変更になったりすると見込まれる場合は以下の「又は表示」「大括り表示」「大括り表示 + 又は表示」が認められるが、いずれも根拠書類を保管しておく必要がある。

【又は表示】
使用する予定の産地を「又は」でつないで表示する方法で、「アメリカ又はカナダ(豚肉)」などのように表示する。重量割合が5%未満の産地に関しては括弧で5%未満であることを表示しなければならない。

【大括り表示】
使用する予定の産地が3か国以上の場合は「輸入」「外国産」「外国」などのように表示する方法

【大括り表示 + 又は表示】
原材料の原産地が3か国以上で、輸入と国産で重量順の変動が見込まれる場合は「輸入又は国産」「国産又は輸入」と表示する方法で、過去の使用実績による重量割合順で表示していることを注意書きで記載しなければならない。

対象原材料が加工原材料の場合は製造地表示が基本

小麦粉やマヨネーズなどすでに加工食品になっている加工原材料は、重量割合上位1位の製造地を表示することが基本となり、国産の場合は国内製造、輸入品の場合は「カナダ製造」などのように表記しなければならない。

また加工原材料の産地が生鮮原材料まで判明している場合は「砂糖(さとうきび(タイ、国産)」などのように生鮮原材料と産地を表記することもできるが、それ以外の任意の段階の製造地表示は認められないため、注意が必要だ。

23年4月から施行される新たな遺伝子組換え任意表示制度

遺伝子組換え任意表示制度

納豆やコーンスナック菓子など遺伝子組換え食品の表記を取り決めている遺伝子組換え表示制度には、義務表示と任意表示があるが、23年4月から新たな任意表示制度が義務化される。

新たな任意表示制度では、以下の2つの表現を使い分けることで一般消費者に正確な情報を伝えるように求められており、遅くとも23年3月末までには対応しておかなければならない。

①分別生産流通管理で意図していない遺伝子組換えの混入が5%未満の大豆及びにとうもろこし、それらを原材料とする加工食品の場合 → 分別生産流通管理済みであることを表記

②分別生産流通管理で遺伝子組換えの混入が検知されない大豆及びにとうもろこし、それらを原材料とする加工食品の場合 → 「遺伝子組換えでない」「非遺伝子組換え」と表記

任意表示制度の施行前に現行制度に基づいて製造した食品に関しては、引き続き、施行後も販売することができるものの、一般消費者の誤認を防ぐために可能な限り新たな任意表示制度に対応することが推奨されている状態だ。

現行制度では、分別生産流通管理で意図していない遺伝子組換えの混入が5%未満の大豆及びにとうもろこし、それらを原材料とする加工食品は「遺伝子組換えでない」「非遺伝子組換え」と表記することができる。

しかし、この表記では一般消費者に誤認させてしまうおそれがあったため、今回の新たな任意表示制度に改正された。

任意という表現ではあるものの、もし任意制度の施行後に製造された食品で表記のルールが守られていない場合、食品表示法に基づき、次の章で紹介するペナルティが発生するリスクがあるため、迅速に対応しておくと良いだろう。

食品表示法違反による取り返しのつかないペナルティ

リスク

改正された食品表示法で定められた表示基準を守らない場合、指示から命令と段階的に是正を求められるが、食品表示法第7条で定められている通り、指示と命令が発生した段階で違反した事業者として一定期間、ウェブサイトなどで公表される形となる。

食品表示法第7条
内閣総理大臣、農林水産大臣または財務大臣は、指示または命令をしたときは、その旨を公表しなければならない

もし最終的な段階である命令を無視して、食品表示法に違反し続ける場合、以下のペナルティが設けられており、公表の段階で該当の事業者は著しく信用が低下することで顧客離れにつながるほか、命令を無視したうえでの罰則が発生すると、最悪はその後の事業の存続が脅かされる状況に陥ってしまうため、徹底的に食品表示法を守ることが重要だ。

食品表示法第17条
第6条第8項の命令で安全性に重大な問題がある食品の回収等の措置に違反した場合、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、または併科となる

食品表示法第18条
第6条第8項で定める内閣府令の事項で、食品表示基準に違反した食材を販売している者は、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、または併科となる

食品表示法第19条
虚偽の原産地を表示した食品を販売した者は、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金

食品表示法第20条
命令に従わなかった場合は、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金

また法人が食品表示法違反を続けている場合は、ペナルティはさらに重くなり、違反した行為者が罰せられるほか、法人も食品表示法第22条によって罰金刑を受けてしまう。

食品表示法第22条
・第17条に法人が違反している場合は、3億円以下の罰金
・第18条から第20条までに違反している場合は、1億円以下の罰金と該当する条文のペナルティ

遺伝子組換え任意表示制度の経過措置は23年3月31日までであり、同年4月には対応しておく必要があるが、食品表示の規定は複雑化しており、食品表示ラベルを作成する際は規定を熟知したうえで対応する必要があるため、多大な人的・時間的コストが発生してしまう。

ミスによるペナルティのリスクを防いだうえで工数をカットする場合は、情報を入力するだけで現在の規定通りにラベルを自動的に作成してくれる食品表示ラベルツールを導入しておくと安心だ。

特に法人の場合は、違反した場合のペナルティが極めて重いため、人手不足に悩んでいる場合は万が一のために備えて検討しよう。

最後に

2017年~2020年にかけて改正・施行された食品表示法で現在も経過措置中の規定は、現時点では23年4月に完全施行される新たな遺伝子組換え任意表示制度のみだが、タイムリミットが迫ってきているため、今のうちに準備を始めることが重要だ。

完全施行日を過ぎても対応していなかった場合は、罰金などのペナルティを受けてしまうリスクがあるが、食品表示に関する業務に多くの工数を割いており、ヒューマンエラーが起きるおそれがある場合は、業務効率化も兼ねて食品表示ラベル作成ツールを導入しておくことが望ましい。

この記事を参考にして、食品表示法の規定に基づいて、正確な情報を一般消費者に向けて表示していくと良いだろう。