悩み解決|売上 2019.01.28

「飲み放題」は誰がお得?お店のメリット|やる、やらない、どっちが損?

「飲み放題」は誰がお得?お店のメリット|やる、やらない、どっちが損?
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飲み放題は集客に効果絶大?
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飲み放題メニューは本当に儲かる?
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飲み放題メニュー導入のメリット
目次
お客様からすると魅力的な「飲み放題」だが、飲食店側からは「採算がとれないのでは?」「大型店やチェーン店でないと難しそう」などと不安要素が多く、なかなか導入に踏み切るのが難しいプランでもある。飲み放題に店側のメリットはあるのか、本当に飲み放題は損するのかなど、飲食店オーナーが抱きがちな疑問について解説しよう。

飲み放題は集客に効果絶大?

飲み会、宴会の幹事を任されたお客様は、どのような基準で店選びを行っているのだろうか。アサヒグループホールディングス株式会社が、2017年に全国の20歳以上の男女を対象として行ったアンケートでは、「個室・貸切できるお店かをもっとも重視する」と答えた割合が、43.9%でトップであった。次いで高かったのが「食べ放題・飲み放題がある」で、回答率は43.0%と僅差である。お店選びの理由として、飲み放題プランが重要視されていることがわかる。
清算しやすかったり、酒量の多い少ないに関わらず支払いが一律であったりという点が多く聞かれる理由だ。宴会予算の立てやすい定額プランの飲み放題サービスは、幹事を任されたお客様にとって魅力的であり集客効果が高いことがわかる。
(出典:アサヒグループホールディングス ハピ研 2017年度インターネット調査

飲み放題のイメージ

飲み放題メニューは本当に儲かる?

いくら集客効果が期待できるとはいえ、飲み放題メニューを導入して原価割れをしてしまわないか、損することはないのかと不安になるオーナーも多いだろう。
たとえばソフトドリンクの原価は安いことで有名だが、単価の高そうなアルコール類では赤字を出してしまいそうに思える。しかし本当に「飲み放題=赤字」なのだろうか。ひとつひとつ具体的に検証してみることが必要だ。

ドリンクごとの原価はどのくらい?

生ビール、サワー、カクテル、焼酎など、定番ともいえる人気ドリンクの原価目安を計算してみよう。結果は以下の通りだ。

ドリンクの原価

生ビール(中ジョッキ1杯):185~200円
サワー(中ジョッキ1杯):20~100円
ハイボール(中ジョッキ1杯):70~80円
焼酎(ロックグラス1杯):45~55円
カシスオレンジ:70円前後
その他カクテル:30~100円程度
※中ジョッキ1杯は350~380ml、ロックグラス1杯は約80mlと仮定

注文杯数はどのくらい?

ではお客様一人あたりではどのくらいの杯数を注文するのだろうか。
一般的に、「酩酊状態」となる血中アルコール濃度の目安は、0.15%以上とされる。体重70kgの人の血中濃度が、この水準に達する純アルコール量は70g。そして70gを飲むためには、アルコール度数5%のビールで1750gが必要となる。中ジョッキ1杯を約350gとすると、5杯で達する量だ。
つまり、個人差こそあれ、身体に無理なく酔おうとすると、生ビール中ジョッキ5杯以下が目安になる。また筑波大学が行った、学生の飲み放題における杯数は2~4杯がもっとも多い(全体の約57%)、という調査結果もある。
(出典:筑波大学2017年サスティナビリティ班 調査結果 http://toshisv.sk.tsukuba.ac.jp/jisshu/jisshu1/report/2017/g6_sustain/analyse.html

この結果から、飲み放題だからといって驚くような量を飲み干されるわけではないことがわかる。

飲み放題の価格・品数・時間

以上を踏まえて、損をしないための価格設定を考えてみよう。どのドリンクが注文されるかによって、飲み放題プランの平均原価は変わってくる。POSデータや店長の経験を生かし、平均原価を計算しよう。
予想される平均原価÷店舗の目標原価率=飲み放題プランの目安価格」となる。

価格設定のイメージ

しかし、これだけでは集客の目玉としにくいという点も考えなければならない。飲み放題プランに期待するのは集客効果なので、できればお客様に満足感を抱いて帰ってもらえるようなメニューに設定したい。そこで効果的な施策の例を以下に挙げる。

  • 原価の安いハイボール、サワー、カクテルの種類を増やし、飲み放題メニューの豊富さを売りにする
  • 原価の高い生ビールや地酒を1段高いグレードのコースとし、通常コースを訴求力の高い価格とする
  • 飲み放題はセルフスタイルとし、人件費を削ることでより訴求力の高い価格を打ち出す
  • 原価の安いサワーやカクテルを好みがちな女性グループ客をより獲得するため、「割もの」を増やした女子会プランを設定する

どれも集客効果が期待できる施策だが、価格訴求を行う場合は、利益率が高いフードメニューを注文してもらいやすくするなど、他の部分で採算をとる工夫も必要だろう。

また、さらに重要なのは、お店の立地による客層の違いだ。たとえば女性客が多いところでは、ビールやハイボールなどより、カクテルや果実酒といった割ものを好む傾向にある。そのため、それらのメニューの種類を増やしたり、オリジナルカクテルメニューを入れたりする工夫をしてみるのもよいかもしれない。
原価率の高いものは上位コースに入れてもよいが、周辺にある他のお店のリサーチもよく行った上で設定することをおすすめする。お客様は他のお店との比較をし、お得なメニューだと思えばそのお店を選択する傾向にあるためだ。原価率ばかりを気にして、周辺の競合店のことを忘れてはいけない。

また、飲み放題プランの時間制限を2時間とする飲食店が主流だが、この時間は回転率や注文杯数を考えた数字であることが多い。対して、お客様が満足し自然と退席するまでの時間は2時間半から3時間ほどであることが多い。自店の客層、ニーズによってはここで満足度を重視し、他店との差別化を図るという選択肢もあるだろう。経営手腕の振るいどころでもある。

飲み放題メニュー導入のメリット

ここからはより具体的に、飲み放題メニューを導入するメリットを確認してみよう。

メリット①新規顧客の集客につながる

お得感が飲み放題メニューの魅力ではあるが、それだけではない。お客様が予算をイメージしやすいというメリットがプラスされる。
幹事を任されたお客様が初めてのお店を検討する際、気になるのは「お店の価格帯が予算に合うかどうか」だ。参加メンバーの酒量によっては提示された目安価格から大幅に外れてしまうことがあり得る。そのようなことが起こりにくい定額飲み放題は、安心できる材料となる。

メリット②回転率が上がる

飲み放題には時間制限を設定できるというメリットもある。宴会、飲み会となるとどうしても会話が弾み、楽しんでいただけているという証拠であるとはいえ、あまり長尻になられると困ることもある。「次のお客様がいらっしゃるから」と退店をうながすのは不満につながりやすいが、飲み放題の制限時間となれば、お客様にも納得していただけるだろう。

また、ハッピーアワーと称して、アイドルタイムに訴求力の高い割安なプランを設定することも有効だ。店舗は開けておくだけで人件費や光熱費などコストが発生する。それよりは、多少利益率が低くてもお客様を呼び込んだ方が損を抑えられる。もちろんピークタイム前までの時間制限としておくことで、利益率の高いお客様を逃すこともない。

メリット③意外と原価割れしない

上記で計算したように、飲み放題とは言え、たいていのお客様は4~5杯前後の注文で満足される。お客様は定価ベースで元をとれたか、お得だったかを比較するが、飲食店側からは原価ベースでの計算となる。グラスを交換制にするなどで飲み残しを防げば、原価割れすることは少ないだろう。

メリット④宣伝広告費と捉えられる

もし飲み放題を行うことで通常販売より粗利が減少したとしても、その分の集客につながれば問題ないといえる。広告出稿やチラシ配りの費用だけが広告費ではないということだ。

メリット⑤客単価アップにつながる

飲み放題のお得感を高め、お客様に気分よく過ごしてもらえば、さらなる効果を生むこともある。ドリンクで得をしたと感じてもらえば、気前よくフード類を追加注文されることも増える。お客様とwin-winの関係を築くことも必要なのだ。

客単価の向上

飲み放題で失敗しないコツとは

飲み放題で失敗しないコツは、しっかりと原価ベースで計算し、トータルでの視点を持つことだ。
ありがちな失敗として、飲み放題用ドリンクに手を抜いてしまうということがある。お客様は飲み放題に対し「安かろう悪かろうではないか」との疑念を持って来店することも多い。ここで通常販売よりも劣ったドリンクを提供することがあれば、「けちった店」「損をした」などと悪印象を持たれてしまうことになる。たとえ、立地がよく、一見客だけで回る店舗であろうとも、リピーターがいなければ先細りは必至だ。

飲み放題のイメージ画像

うまく導入すれば繁盛につながる

飲み放題は、一見、飲食店側の損に思えても、しっかりとしたシミュレーション、競合店や自店の客層調査を行いニーズを取り入れられれば、強力な武器となるはずだ。飲み放題だけでなく、「ハッピーアワー」や「最初の1杯限定価格」などの施策で同様の効果が得られる場合もある。自店とお客様とが双方満足できるような最適なメニューを見つけ、ぜひ効果的な集客に生かしてほしい。

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